はじめに
こんにちは!あろまろっぷです!
資産形成の方法として確定拠出年金を利用している人は多いと思います。
最近は雑誌やテレビでも紹介されている個人型確定拠出年金(iDeCo)が人気ですが、会社が提供している確定拠出年金(いわゆる企業型確定拠出年金)を利用している人もいるかと思います。
今回の記事は企業型確定拠出年金の商品が個人型確定拠出年金と比較して高コストになりがちという点から、それを改善するための方法についてまとめてみました。
企業型確定拠出年金とは
企業型確定拠出年金は投資信託協会では以下の様に説明されています。
企業型DC(企業型確定拠出年金)とは、企業が掛金を毎月積み立て(拠出)し、従業員(加入者)が自ら年金資産の運用を行う制度です。
引用元:https://www.toushin.or.jp/dc_contents/c_dc/index.html
個人型確定拠出年金(iDeCo)は加入者本人が掛金を拠出しますが、企業型確定拠出年金は会社が掛金を拠出してくれます。従業員はその掛金でどの商品を選択して運用を行うかを決めます。
多くの会社では退職金制度の代わりとして運用されている制度となっています。
次に簡単に企業型確定拠出年金のメリットをデメリットを紹介します。
メリット
企業型確定拠出年金のメリットは以下の通りです。
- 掛金を会社が拠出してくれる(自分で掛金を上乗せすることも可能)
- 掛金の上限がiDeCoよりも高め(企業型:5.5万円、iDeCo:2.3万円)
- 口座維持手数料が会社負担である(規約による)
①ですが企業型確定拠出年金では、掛金は基本的に会社が拠出してくれます。
それと合わせて「マッチング拠出」という仕組みがあり、会社拠出分を上限として自分で掛金を上乗せすることも可能です(会社拠出分が5000円の場合、マッチング拠出として上限5000円まで追加で拠出可能)。
マッチング拠出分は全額控除となり、節税しながら資産形成が可能なので資金に余裕があるなら実施した方が良い制度です。
②について補足すると、iDeCoの制度としての掛金上限は自営業者の6.8万円です。
ただ、普通のサラリーマンの場合はiDeCoの掛金上限は2.3万円となるため、企業型確定拠出年金の掛金上限5.5万円がサラリーマンの確定拠出年金の上限として最大となります(他の企業年金がない場合)。
デメリット
企業型確定拠出年金のデメリットは以下の通りです。
- 自分が好きな金融機関・商品を選ぶことができない
- 会社の拠出額によってはiDeCoよりも掛金が少なくなってしまう
一番大きいデメリットが①です。
iDeCoと異なり金融機関は会社が決めているため、投資する商品はその中から決めるしかありません。
例えばSBI証券のiDeCoだと低コストで知られるeMaxis Slimも選択可能ですが、企業型確定拠出年金の場合は会社が決めた金融機関で取り扱いがなければ、購入することは不可能です。
また②についての補足ですが、メリットのところで説明した様に単純な上限であれば、企業型確定拠出年金の方が上です。
しかし、会社の掛金が5000円だった場合、マッチング拠出を利用しても最大5000円までしか拠出できず、10000円しか拠出できません。
そのため、iDeCoの上限2.3万円(サラリーマンの場合)よりも掛金が少なくなってしまいます。
取扱商品に高コストの商品しかない場合にどうすれば良いか
企業型確定拠出年金のデメリットは先ほど説明した様に金融機関を自分で決められないことです。
そのため、商品のラインナップは会社が契約している金融機関によってしまいます。
例えば、ある金融機関だと外国株式へのパッシブ運用の投資商品として「Oneたわら先進国株式(信託報酬:0.10989%)」の様に低コストな商品を用意しています。
酷い金融機関だと同様の商品として「ダイワ投信倶楽部外国株式インデックス(信託報酬:1.0450%)」のみを提供しています。
この様な悪質な金融機関と契約している会社で企業型確定拠出年金を利用している人は単純に10倍近い手数料を支払うことになり、会社と金融機関の被害者だと言っても過言では無いと思います。
ここまで酷くなくても外国株式へのパッシブ運用の投資商品として信託報酬0.2〜0.3%の商品を取り扱っている金融機関は多く、やはり高めの手数料を支払って仕方なく資産形成をしている人がいることも実際に起こっていることだと思います。
この状況を変えるための解決方法は労働組合に訴えることです。
そもそもの話として会社は確定拠出年金法の第43条において、企業型年金加入者のために忠実に業務を遂行する義務を負っています。
忠実義務が何を指しているのかについては厚生労働省が出している法令解釈通知の第9-1-(1)に記載されています。また、第9-1-(1)-②には以下の様に記載があります。
事業主は、企業型確定拠出年金制度を実施する主体であり、もっぱら加入者等の利益のみを考慮して、確定拠出年金運営管理機関を選定する必要があることから、確定拠出年金運営管理機関に委託している運営管理業務のうち特に運用関連業務がもっぱら加入者等の利益のみを考慮して、適切に行われているかを確認するよう努める必要がある。
引用元:https://www.mhlw.go.jp/content/000677933.pdf
事業主は、少なくとも、下記事項について、確定拠出年金運営管理機関から合理的な説明を受けるよう努めること。
ア 提示された商品群の全て又は多くが1金融グループに属する商品提供機関又は運用会社のものであった場合、それがもっぱら加入者等の利益のみを考慮したものであるといえるか。
イ 下記(ア)~(ウ)のとおり、他の同種の商品よりも劣っている場合に、それがもっぱら加入者等の利益のみを考慮したものであるといえるか。
(ア)同種(例えば同一投資対象・同一投資手法)の他の商品と比較し、明らかに運用成績が劣る投資信託である。
(イ)他の金融機関が提供する元本確保型商品と比べ提示された利回りや安全性が明らかに低い元本確保型商品である。
(ウ)同種(例えば同一投資対象・同一投資手法)の他の商品と比較して、手数料や解約時の条件が良くない商品である。
簡単にまとめると企業型確定拠出年金を実施している会社は、手数料の件も含めて加入者の利益のみを考慮して商品が妥当であるかを確認する義務があるのです。
先ほど例に出した「ダイワ投信倶楽部外国株式インデックス」と「Oneたわら先進国株式」はどちらもMSCIコクサイ・インデックスに連動するインデックスファンドです。
にも関わらず信託報酬は約10倍の差があり、10倍も無駄な手数料を支払って全く同じものに投資をしている加入者がいるということで、これは加入者の利益という点で妥当性が無く適切とは言えません。
この状況が改善されないのであれば、それは単に会社の怠慢なので労働組合を通してガンガン文句を言いましょう。
企業型確定拠出年金は退職金として利用されていることが多いので、自分の退職金は自分で守るという意識が大切です。
大切な資産を守るために声を上げていきましょう!
まとめ
企業型確定拠出年金の加入者は750万人近くいますが、iDeCoの加入者とは異なり自分から能動的に申し込んでいる訳ではなく、企業型確定拠出年金を実施している会社に就職した際に合わせて加入している人が多い状況となっています。
そのため、運用に興味を持っている人が少ないのか、5割の人が掛金を元本確保型の商品にしています(確定拠出年金統計資料に記載あり)。
そもそもがその様な制度であるため、リスクを取って真剣に老後のための資産形成として運用をしている人は少数派となり、会社としても力を入れて従業員に対して投資教育をしている訳ではないので、商品ラインナップも導入時から更新されず、古いままとなってしまっています。
逆にiDeCoは金融リテラシーの高い人が自ら能動的に開設する金融機関を選択します。
ゴミの様な商品しか取り扱っていない金融機関は契約先として選ばれないため、商品ラインナップが魅力的あるものに進化していく圧力があります。
それがiDeCoと企業型確定拠出年金の商品ラインナップにおいて、iDeCoの方が優れている状況を生み出しています。
これを変えるためには企業型確定拠出年金で真面目に資産形成を行なっている金融リテラシーの高い人たちが声を上げて会社に圧力をかけていくしかありません。
企業型確定拠出年金の商品ラインナップに文句がある人は労働組合に文句を言いまくって状況を変えていきましょう(労働組合が無いという場合は企業型確定拠出年金の所管部署(総務部や人事部)の担当者に直接意見する)。
同じ様に不満を持っている仲間は必ず同じ社内にいると思います!
以上、報告終わり!